バイクだけでなく楽器メーカーとしても有名なYAMAHA

バイクメーカーに限らず、YAMAHAほど幅広い分野でメーカーとして知られる企業は他にはほとんどないのではないかと思います。

例えば誰かに「YAMAHA」という名称でイメージすることを尋ねた時、おそらく「バイクメーカー」というふうに答える人はそれほど多くないでしょう。

それもそのはずYAMAHAことヤマハ発動機はもともとは「ヤマハピアノ」というブランド名で知られる日本楽器製造を出発点とする企業であるからです。
日本楽器製造が創業したのは1916年のことで、創業者である山葉寅楠によるオルガン修理会社として設立をされました。

山葉寅楠は和歌山生まれの徳川藩士であり、のちに長崎で時計作りの技術を学んでから1884年に浜松に渡って医療機器を修理する仕事につきます。
そのときにたまたま小学校の備品であったオルガンの修理を依頼され、成功をします。

このときの経験が非常に印象的であったようで、そこから独自のオルガンづくりを研究して4年後に「山葉風琴製造所」を作ります。
そこから事業を成功させて「日本楽器製造」と会社名を変更していくことになります。

楽器製造の次に進出をしたのが航空機用プロペラで、木製のものから金属製のものを取り扱うようになりオルガンに関してもパイプオルガン製造など特殊な分野を行う企業として知られていきます。

バイクメーカーとして知られるようになったのは終戦から10年が経過した1955年のことで、本業とは別のオートバイ事業部が立ち上げられるのですが、やがて本社とは完全に分離した形で営業されていくことになります。

バイクメーカーとしては比較的後発ですが、優れた技術とデザインを重視した独自の戦略により淘汰がすすむ業界において生き残りをすることができました。

「芸術のYAMAHA」と言われる理由

YAMAHAというバイクメーカーを示す言葉として「芸術のYAMAHA」もしくは「デザインのYAMAHA」と言われたりします。

これは前述をしたように国内メーカーとしては非常に珍しく本格的なデザインを製品づくりに盛り込んだということが理由になっています。

バイク作りを開始した1955年の時点ではまだ「デザインの仕事」という認識が社会的に薄く、専任デザイナーというものもほとんど存在していませんでした。
そんな中でバイク作りにいち早くデザイン性を取り入れたというところで他のメーカーにはない優美さを感じることができる車両としてまとまっています。

現在もYAMAHAが好きなライダーはデザインが好きという人が多く、性能面だけでなく新たなバイクの流行を作り上げるパイオニアとしての役割を担っています。

過去にはビッグスクターの「グランドマジェスティ」やネイキッドバイクのVMAXなど、後にそのジャンルが大流行するバイクを最初にリリースしている実績があります。