1980年から叫ばれてきた三ない運動とは
現在も各都道府県の教育委員会、またPTAの中に根強く残っているのが「三ない運動」です。
今バイクを楽しんでいる若い世代は聞いたことがないかもしれませんが、親御さんの世代なら聞いたことがあるでしょう。
バイクの三ない運動というのは1983年に起こった全国高等学校PTA連合会の決議による「バイクの免許を取らない・乗らない・買わない」という社会運動の事です。
5年ごとに見直しされ、現在まで継続されているこの運動は各都道府県が主体となって推進し、全国各地の高校に伝わりました。
なぜ三ない運動が叫ばれるようになったのかというと、1970年代後半から始まった暴走族の問題や、1980年代に起きた一大バイクブームがあったからです。
多くの若者がバイクに夢中になり、中には無謀な運転をする人もいて、事故も多発しました。
そこでPTAなど保護者が立ち上がり、バイクを遠ざけようと運動が始まったのです。
これによって多くの高校がバイクを禁じることとなり、現在もその精神が残っているのです。
三ない運動の見直しの動きとは
1970年代、1980年代は子供の数も多かったのですが、現在は少子化が進み、高校の生徒数も定員割れを起こしているところが多くなり、閉校となる学校も多くなっています。
学校の統廃合も多くなり、近くの高校がなくなって遠方の高校に通う生徒も多くなりました。
都市部の学校なら公共交通機関が発達しているので遠方でもなんとか通学できるかもしれませんが、過疎地域は駅まで車で行かなければならなかったり、電車の本数が少ないなど、高校に通う事ができない生徒も出てきます。
寮など完備されていればいいのですが、アパート暮らしとなると保護者も心配ですし、費用もかかるため、バイク通学という手段に注目が集まっていることは事実です。
通学困難な生徒には条件付きで許可する高校や、制限なしとしている高校も出てきていますが、今なお、1000校近い高校が免許取得を禁止しています。
しかしこうした事態を受け、三ない運動を見直し、条件付きで二輪免許取得、二輪の購入、乗車を認める新指導要綱を制定する自治体も出てきたのです。
例えば埼玉県ではこれまで高校生にバイクは不要とパンフレットを配り、二輪免許の取得を認めないことを強くアピールしていました。
しかし新指導要綱の施行によって、高校生がバイクを利用することを認めた形となっています。
バイク=不良ではない事の認識と正しい走行が不可欠
保護者や教員の皆さんにとってバイクに乗る生徒は不良というイメージがあるのかもしれません。
中にはそういう生徒がいるかもしれませんが、バイクに乗っているから不真面目ということではないのです。
今バイクに乗っている若い世代も、通勤に必要で安く免許を取得できるからという理由でバイクを選択する人もいますし、趣味として楽しめるから使っている人も多く、危険行為を行っている人はごく一部といえます。
バイクだけではなく、車でも危険行為を行う人がいるのですから、バイクだけに不良が乗る乗り物とレッテルを張るのはすでに時代錯誤です。
高校生がバイクに乗る際、正しく安全に乗ることができるように知識と技術を身につけさせることで、通学に利用できる若者たちの足になるでしょう。